私がぶどう栽培を始める前に参考にした栽培方法を紹介したいと思います。
ぶどうは成園化に4~5年かかるといわれる果物です。
植え付けてすぐは花芽すらつかないこともあり、お金になりません。
しかし、今回紹介する方法では、植え付け2年目で慣行成園(1.2t/10a)の2培の収量が期待できます。
ハウス代もかかることから、反あたりの収穫量が多いこともメリットのひとつです。
▼北風と太陽ぶどう園の栽培方法はこちら
ハウスぶどう「巨峰」の根圏制御栽培:解説
参考資料:ハウスぶどう「巨峰」の根圏制御栽培
栽培方法
根圏制御栽培の栽培方法のポイントは3つです。
- 垣根仕立てV字誘引
- 根圏制御(盛土)
- 栽植本数500本/10a
収穫量が2倍になる理由
収穫量が2培になる理由は、仕立て方と栽植本数にあります。
垣根仕立てV字誘引
垣根仕立てとは主にワイン用ぶどうに使われる仕立て方で生食ぶどうに利用されることはほとんどありません。
これは湿気の多い日本では垣根仕立てが不向きだったからなのですが、湿気の影響を受けにくいハウス栽培では垣根仕立てでも栽培に問題はありません。
▼垣根仕立てV字誘引と通常の垣根仕立てと棚仕立てを比較してみましょう。
赤い線がぶどうの実のなる枝(結果枝)です。
ぶどうの主枝は15㎝間隔に結果枝が出ます。つまり棚仕立てと垣根仕立てでの1mの収穫数は6房です。
垣根仕立てV字誘引では、左右に主枝を振り分けることで12房/1mの収穫数が確保できるということになります。
棚仕立ても培の結果枝を出せばいいのに…と思うかもしれませんが、木への負担や採光性、品質への影響を考えると案外できないのです。
ぶどうの品質を落とさない工夫
通常のぶどう栽培では結果過多になるとぶどうの品質が落ちることもあり、実らせる数を制限します。
しかしそれでは2倍の収量は上げられません。品質を落とさずに2倍の収量を得る工夫が以下になります。
根圏制御(盛土)
根圏制御とは、根域を制限し、水や養分を制御することを指します。
無菌の培土を使用することで接ぎ木苗の必要がなくなり、根を隔離することで栽培地を選ばずに栽培することが出来ます。
養水分を厳密に管理することで、粒の肥大、糖度を上げる管理が可能です。
栽植本数500本/10a
株間1m畝間2mの超密植栽培です。通常のぶどう栽培が10本/10aと考えると常識はずれなことをしているように感じますが、ワイン用ぶどうではよくみられる光景です。
ワイン用ぶどうでは生食ぶどうよりすぐれた品質が求められることから1つの木から実るぶどうの数を少なくすることで効率的においしいぶどうを作っています。
とはいえ金銭面で考えるとデメリットばかりに感じられるでしょう。巨峰苗木は1本2000円と考えて500本購入したら100万円になります。
しかし、巨峰などの種苗法の登録が切れているものであれば自家増殖は問題なく行えます。無菌培土を使っているので接ぎ木の必要もありません。
まとめ
収量というメリットはありますが、正直そこまでする必要あるの?と思うところのある栽培方法です。
10a500本といった栽植本数の多さは、新しい品種を作りたい人にとってはネックになりますよね。
実際根域制限を行っている農家さんでは、新しい品種では株間を広くとっていました。
シャインマスカットなどの根っこの暴れやすい品種では根域制限は有効ですので、使える部分をアレンジして自分に生かすのがいいと思います。
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